小説
幸せな結末を目指した悪役令嬢は、しかし結局どうすることもできませんでした。敗因は、他にも転生者がいるという可能性に思い至らなかったこと。
「悪いな。お前が邪魔なんだ。消えてくれ……」
私が結婚を狙った攻略対象は、ゲームの世界の人間ならば知るはずがない、生前の私の名字をそっと囁いた。
(※これは悪役令嬢に転生してしまった女の子がバッドエンドを回避するような物語ではありません)
「悪いな。お前が邪魔なんだ。消えてくれ……」
私が結婚を狙った攻略対象は、ゲームの世界の人間ならば知るはずがない、生前の私の名字をそっと囁いた。
(※これは悪役令嬢に転生してしまった女の子がバッドエンドを回避するような物語ではありません)
【完】隣の席の四月一日くんはどうやら異世界で勇者パーティーにいたらしい
「出席番号36番。四月一日です。所属は家庭部。趣味は筋トレ。前にいた世界では、魔王討伐のために勇者たちと旅をしていました。できればこちらの世界でも悪を滅ぼしたいと思っています。よろしくお願いします」
ここは魔法あふれるファンタジーの世界。ではなく科学あふれるただの日本だ。魔王とか勇者とかいない。しかしおかしな自己紹介をぶちかました彼はふざけるでもなく、ただただ真面目に、まっすぐと前だけを見つめていた。いやどこ見てるんだよ。
これは、そんな四月一日くんと過ごす高校生活。最後の一年のお話である。
ここは魔法あふれるファンタジーの世界。ではなく科学あふれるただの日本だ。魔王とか勇者とかいない。しかしおかしな自己紹介をぶちかました彼はふざけるでもなく、ただただ真面目に、まっすぐと前だけを見つめていた。いやどこ見てるんだよ。
これは、そんな四月一日くんと過ごす高校生活。最後の一年のお話である。